2012年7月22日日曜日

骨粗鬆症投薬方法【改訂 2022.1.20】

骨強度 = 骨密度(BMD)+ 骨質

まずは栄養指導、骨質を改善するためには生活習慣病を撃退!

(1)既骨折受診の骨粗鬆症
※急性期
1、PTH製剤 皮下注射
 Ca剤など内服併用も考慮
(1)フォルテオ<テリパラチド>
骨癒合、偽関節  (NIH資料参照)
(2)テリボン<テリパラチド>
破裂骨折、関節内骨折(ミニリモデリング作用)

2、イベニティ<ロモソズマブ>
骨をつくる過程(骨形成)を抑える因子となるスクレロスチンという物質の働きを抑える

3、エルシトニン(注意 骨粗鬆症適応外)
除痛に6カ月使用

4,ゾメタ、リクラスト点滴静注液5mg/100ml<ゾレドロン酸>
①骨転移症例 半年
②骨粗鬆症例 1年 急性期反応対策で注射後アセトアミノフェン投与が望ましい
※注意 ゾレドロン酸注入後3日以内に発生する急性期反応発生群の方が非発生群よりも治療関連の脊椎骨折リスク低下度が大きかった(オッズ比0.19 vs. 0.38、相互作用のP=0.01)
Black DM, et al.  J Bone Miner Res. 2021 Sep 28. 

※慢性期(3カ月過ぎたら)
経口内服薬 ビスフォスフォネート+Ca剤+ビタミンD3+ビタミンK剤?
(ビスフォスフォネート製剤は三年以内)

ビスフォスフォネート製剤
1,プラリア皮下注<デノスマブ>
 RANKリガンド(RANKL)という物質の働きを阻害
 半年に一度
2,リクシアナ<ゾレドロン酸>
 年に一回、3日間発熱が出現するため解熱剤投与推奨

(2)二次性骨粗鬆症
1,慢性腎不全
← エディロール(0.75)
  研究中:テリボン(ミニリモデリング効果により高Ca血症を起こさない)

2,糖尿病、高脂血症、生活習慣病、更年期障害の女性
← 閉経 ビビアント+エディロール
  浮腫注意

(3)骨・関節形成術前、および手術前後の患者様
← 骨強度強化で臨床成績アップを期待できる。

(4)人工関節置換に関与する応力遮断(stress shielding)
← ビスフォスフォネートの使用検討


コメント
・骨密度検査のみならず、骨質の担保必要であるがマーカーは今のところ不明
・歯科治療はビスフォスフォネート中止検討。
 抜歯のみ注意とされていたが、歯周病など口腔内感染に関連が示唆される
・顎骨壊死がフォルテオで治った症例報告(NEJM letterより)
・臨床的椎体骨折を1件回避するため、ARRを0.005とすると、閉経後の骨粗鬆症女性200例に12.1カ月間のBP療法を実施する必要があった(Deardorff WJ, et al. JAMA Intern Med. 2021 Nov 22. )

長期投与:骨量・骨質に有効な薬剤選択

①骨AGEsを誘導しない骨吸収抑制剤を選択する
アパタイト低親和性BP剤
 Saito M, Osteoporos Int, 2008
   Mashiba T, Saito M, Bone, 2017 
   Kimura S, Saito M, Osteoporos Int, 2017

①+② 骨質(材質)改善剤を併用
活性型ビタミンD3
 Saito M, Bone, 2015
 Saito M, Calcif Tissue Int, 2011
 Saito M, Bone, 2010

③骨量+骨質改善
骨形成促進剤:テリパラチド
 週一投与
 Saito M, Osteoporos Int, 2011
 Yoshitake S, Saito M, Calcif Tissue Int, 2018
 連日投与
 Kimura S, Saito M, Osteoporos Int, 2017

PTHの後療法
①+② か 抗AGEs作用(SERMs)
 Saito M, Bone, 2015
 Saito M, Osteoporos Int, 2010
 Kimura S, Saito M, Osteoporos Int, 2017

二分肋骨に関して

二分肋骨
発生異常が原因の先天奇形 で
・正常成人の0.6%にみられる。
45肋骨に多く、
・多くは無症状であり、放置される。
・発生学的には、proximal rib(神経管)からのShh(ソニック・ヘッジホッグ)関与
していると言われている。

整形外科症例報告は少なく、見つかったとしても偶発的である。

二分肋骨で除外するべき疾患として、基底細胞母斑症候群がある。
外胚葉、中胚葉起源器官の異常でおこる常染色体優性遺伝の疾患である。

発生率は英国での報告のみで26000人に1
本邦の厚生労働省班での調査では、平均発症年齢 37.4であり、2つのピークを持つが、10歳代では顎骨嚢胞 40歳代では基底細胞癌の好発年齢であるからと考えられている。
  基底細胞癌は予後が良く、再発率高い疾患である。

この患者では放射線感受性が強いため、髄芽腫放射線治療前のスクリーニングが必要であり、発見された後は紫外線予防が重要とされる。このことから、遺伝子学的早期診断の研究による癌化予防が必要とされる。

 Kimonisらの診断基準と本邦一次調査出現率を表にまとめた。
二分肋骨は大症状の一つされ、36%の症例にみられる。
これらの臨床症状は多診療科にわたるため、診療には各科の協力が重要となる。

二分肋骨奇形で有症状とされる報告pubmed検索でも一件のみであり、
他には第1肋骨の胸郭出口症候群や胸郭内肋骨がある。